だから人間は大嫌いだ!!

ゲームプログラミングとか、気になるWebのサービスのこととか

ニコニコ動画の視聴者数が減っているという噂を聞いたのだけど、その実態は?

なんとなくネットをウロウロしていた時に、こんな記事を発見した。

ニコニコ動画オワコンって、いやいやいやいや〜

ほんまかいなって思ったわけだ。

記事によると、ニコニコ動画に視聴者数が急激に減ってて、このままいくとサービス自体がダメになるんじゃないか…と。で、その記事に書かれている表みたいなやつを確認すると。

月間訪問者数(百万)
    11月 12月 01月 02月 03月 04月 05月 06月 07月 08月 09月 10月 11月
動画 148.0 130.5 127.0 103.5 113.5 101.0 91.3 82.5 84.1 81.4 78.0 82.4 83.4 43.7%減
生放 *45.4 *44.5 *40.5 *33.7 *39.5 *33.1 31.1 27.5 29.3 29.3 25.8 27.4 27.5 39.5%減
静画 *10.2 *10.1 *9.65 *7.85 *8.90 *7.85 7.80 6.70 6.35 6.25 6.00 5.80 6.35 37.8%減 

うむむ…、数字だけ見ていると、めちゃくちゃ悪化しているような気がする。

確かに、シーク機能が失われて以来、ニコニコ動画とはおさらばしちゃったなんて声がよく聞こえてくるわけで、ガチで減っている気がしないでもない。…ただ、ただですね!スマホがブームになって、色んなコンテンツサービスが地殻変動を起こしている近年のWeb業界なんだけど、動画といういかにもモバイルに優しそうなあのサービスが、そんな急激にユーザを逃がすだなんてとても思えない。うーん、これ、何かがおかしくないか!?

ということで、その実態を調査してみることにした。

そもそもこの「訪問者数」とは何か?

このサイト、動画の訪問者数が1,4800万人/月から8340万人/月にまで減少して、たった一年でなんと「43.7%」も減ってしまったと主張している。注目を集めるのが仕事みたいな風のまとめサイトなので、その数字は割といい加減である可能性が高い。っというか、ぶっちゃけ嘘を載せても、人に読まれたら勝ちだろ!みたいなところがありそうなので、まぁどうせ、嘘書いてるんだろ?ぐらいのつもりでいたわけ。

…ところが、情報源を確かめてみると。

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…内容は確かに一致していた!

ちなみにこの情報源であるSimilarWebというサービスは、何かしらの魔法を使って訪問者数の推測を行なっているらしい。一体どうやっているのか、突っ込み過ぎるとネットの闇に消されそうな気がしてならない。仕組みそのものを調べることは諦め、とりあえず、私がプライベート運営しているとあるサービスのGoogle Analyticsの結果と比較して、どの程度の精度なのかを調べてみることにした。

すると…!?

計測月 Google Analytics SimilarWeb
2014.05 32,825 80,000
2014.06 49,638 90,000
2014.07 54,008 75,000
2014.08 44,091 75,000
2014.09 41,384 80,000
2014.10 36,971 50,000

全然違う!!…みたいな展開を期待していたのに、規模感がだいたい合っているという。実際のところ、バズったりすると80,000〜100,000PV/月いくことは度々あるし、半年ぐらい前まではこれぐらいの規模感だったのも事実。大きく外れている感じがしない。SimilarWeb、なんて恐ろしい子

とはいえ、倍以上もかけ離れている時もあるわけで、40%程度の減少なんて誤差になってもおかしくない。モバイル版サイトとかに結構流れているんじゃないかと思い「sp.nicovideo.jp」あたりのドメインで調べてみたところ、平均12万PV/月と若干怪しい数値が出てきた。これ、信用していいのか?いや、確かに、確かにモバイルだと、ネイティブアプリからアクセスすることが圧倒的に多いのだろうけど、それにしても少なすぎないだろうか?実は、モバイル版のアクセス数なんかは、その仕組み上、全然計測できていないんじゃないだろうか?っと。検証するほどボロみたいなもの出てくる。

結局のところ、ニコニコ動画の訪問者数が減ったということを、このソースからは断定できなくなった。じゃあ、本当のところはどうなのか?増えているの?減っているの?

どうなのよ!

訪問者数、実は…

ドワンゴは最近、ノリにノッている企業「KADOKAWA」に買収されて、「KADOKAWA dwango」になったわけだが、公式サイトに行くと今でも古いIR情報を見ることができる。まぁ、IR情報なんて株主を説得するための資料なのだから、どこまでが本当なのやら?という感じではあるのだが。数字はそこまで下手にごまかせないだろう、特にお金周りは!!っということで、IR情報を素直に覗いてみることにした。

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私はドワンゴの株なんて持っていないので、読みにくい資料を見るのが大嫌い。私みたいな人間未満には、サルでもわかる簡単なやつじゃないと困るのですよ。なので、社長が株主に向けてドヤ顔するために作られた「決算説明会資料.pdf」だけを読むことにした。いや、この説明会資料ってやつ、割とコンシューマー向けのサービスをやっているところのは上手くって、ワクワクするのですよ。ディズニーランドで有名なオリエンタルランドの資料とか読んでると、「株主にならせてくれ」と、土下座したくなるレベルだしな!!

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この資料、なんと四半期ごとに平均の月間平均訪問者数を記載しているじゃないですか。過去1年分の遷移をみてみると…

時期 月間平均訪問者数
2013.10-12 803万人
2014.01-03 811万人
2014.04-06 849万人
2014.07-09 854万人

うむむ、どうやら増えているらしい。ただ、このあたりの数字は色んなトリックが入り込みやすそうなので信用ならん!売上に直結するプレミアム会員数を見てみるとどうだろう?さすがにここだけはごまかせないだろう。

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なんかもう、怖くなるぐらい順調に増えていた。っということで、記事の内容はやっぱり嘘だということで確定なんだろう。

ついでに、業界の地殻変動の中心ともいえるスマートフォンの影響はどうなっているのか?角川に買収されノリにノッているドワンゴのことだし、割といけているんじゃないだろうか?なんてことを思って資料をよく見てみると…

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スマートフォンは売上を削る要因になっているらしい。…ひょっとして、みんなも私と同じくシーク機能が無くなってニコ動を見続けるモチベーションが無くなってしまった感じ?そりゃだって、シーク機能が無いとかHDDレコーダー以下じゃないか。え、どうなのよ!

もう少し踏み込んで調べてみると、こんな記事が!

そして気になるのがこの一文

携帯iモードのサービスに関わった方はよくご存知だと思いますけど、普通、ネットの交流サイトというと、何年か前だと、アクティブ率が異常に低くて、お金は払っているんだけれども、実際に使っている人は月間20%ぐらいとか、そういうのが結構あったりするんですね。ところが、ニコニコ動画の場合は、有料会員のアクティブ率が異常に高いことが特長でして、だいたい90%の人が毎月アクセスしています。

…なるほど、ここにからくりがあるんでしょうね。